リーゼントマネージャー岡田兵吾さん
リーゼントマネージャー岡田兵吾
世界トップクラスの米国系グローバルIT企業のアジア統括にて、ライセンスコントラクトコンプライアンス業務の責任者を務める。同時に、グローバルリーダーシップメンバーの一員として、アジア圏および世界規模でのコンプライアンス施策とデジタル変革(DX)を牽引。
同志社大学工学部卒業後、アクセンチュア、デロイトコンサルティングを経て現職に至り、ビジネスパーソンとして28年のキャリアを持つ。シンガポール・アメリカ・日本の3カ国を拠点に活動し、シンガポール在住は23年目を迎える。
スペインのIE Business SchoolにてExecutive MBAを取得。同校シンガポール・アルムナイクラブの初代会長としてコミュニティ形成にも尽力した。現在は情報経営イノベーション専門職大学(iU)超客員教授、BBT大学オープンカレッジ「ビジネスアウトプットGYM」講師も兼任。
「リーゼントマネージャー」のキャラクターで、NHK Eテレ、TOKYO MX、NewsPicks、PIVOT、TBS CROSS DIG with Bloombergなど多数のメディアに出演中。
人生の目標は「ソーシャル・チェンジ(社会変革)」。座右の銘は「STAY GOLD!」。
今回は、そんな挑戦し続ける岡田さんにインタビューしてまいります!
(インタビュアー:ルカ)
YOLO(You Only Live Once=人生は一度きり)世界トップクラスの米国系グローバルIT企業で働く「リーゼントマネージャー」が語る、日本の働き方・キャリア・経済のバージョンアップ論
Q1. 解決したい社会課題と、いま特に問題視している点を教えてください。
私が解決したい日本の社会課題は、大きく分けて以下の4つです。
① 働き方・組織文化(エンゲージメント/幸福度/働きがい)
先進国(G7)の中でも、日本の従業員エンゲージメントと幸福度が低い状態が続き、仕事や人生に対する熱意・目的意識が希薄化している点を問題視しています。
② キャリア・教育(キャリア自律/他人任せ/リスキリング必須化)
教育・文化・商習慣の影響で、自律的なキャリア設計や人生の舵取りが難しいこと、そして結果として「他人任せの人生」が常態化している点を問題視しています。さらに、AIやDXの進展によるスキルの陳腐化が進む中、リスキリング(学び直し)が必須化しています。
③ 経済・競争力(付加価値/外需シフト/学習投資の低さ)
付加価値や労働生産性の低さ、内需依存から外需シフトへの弱さ、そして企業も個人も学習投資が低い点が課題です。日本の競争力を支えるために必要な、付加価値創造の仕組み化(データ重視・体系化)や、外の知見を取り込む動きが弱い点を問題視しています。
④ 健康・ウェルビーイング(健康後回し/居場所不足/孤立)
忙しさや働き方の歪みで健康管理やウェルビーイングが後回しになりがちで、さらに会社以外の居場所(趣味・コミュニティ等)が少ないことで支えやつながりを失い、心身の不調や孤立リスクが高まる点を問題視しています。
Q2. それらの課題の現状や深刻さについて、具体的なデータを含めて教えてください。
世界的なデータと比較したとき、日本の現状には非常に強い危機感を覚えます。
・日本のエンゲージメントは「世界最低水準」クラス
米ギャラップ社の調査等でも、日本の従業員エンゲージメントは世界最低水準とされています。企業やメディアでは改革テーマとして扱われ始めていますが、現場では「静かな退職(声を上げずに心の距離を置く働き方)」という形で表面化しており、深刻さが見えにくい面もあります。
・幸福度は「55位」
国連の「世界幸福度報告書」(2025年)において、日本の幸福度は147カ国中55位にとどまります。健康寿命は高いものの、それ以外の幸せを構成する因子が弱い現状があります。
・DX化で遅れる日本と学習の低迷
IMDのスマートシティランキング等に代表されるように、DX化での遅れが顕著です。日本は「企業が学ぶ機会を与えず、個人も学ばない」という傾向が強く、政府が「5年で1兆円」のリスキリング施策を掲げるほどですが、実務面ではまだ掛け声倒れの懸念や、取り組みの広がりの鈍さが指摘されています。
・労働生産性はG7で最下位
国際競争力ランキングにおいて日本は長期低迷が続いており、労働生産性はOECD内で下位、G7では最下位です。一般には賃金停滞の問題として捉えられがちですが、実態は未だ人海戦術によるマニュアル対応が多く、世界と比べると生産性が著しく劣っています。
・世界レベルで低い有休消化率
いまだ有休消化率も世界レベルでは低く、仕事優先の社会であり、健康やウェルビーイングへの認識は世界的に見ても低い印象です。
Q3. 社会の中で、これらの課題はどのように受け止められていると感じますか?
重要性は叫ばれているものの、現場との温度差(まだらな機運)があると感じます。
働き方: 経営課題としてサーベイや人的資本経営、Well-being連動などの打ち手が大量に発信されていますが、現場は「忙しさ・制度疲れ」で形骸化しやすく、重要だが後回しになりがちです。
キャリア: リスキリングの制度整備は進む一方、実態は企業主導か個人任せかが混在しています。現場からは「必要性は感じるが、時間・費用・何を学ぶかが壁」という声があり、支援制度も浸透しきっていません。
経済: デジタル化や起業による新陳代謝の必要性は議論されていますが、社会の受け止めとしては「構造問題が大きすぎて自分事化しにくい」傾向があり、危機感はあっても行動への転換は遅れやすい領域です。
健康: 孤独・孤立がウェルビーイング低迷の背景要因として明確に語られ始めていますが、個人レベルでは「忙しさの中で後回し」になりやすく、リモートワークによるストレスや孤独も含め、習慣化が難しい課題と受け止められています。
Q4. その課題に関心を持つようになったきっかけや、自ら動こうと決意した原体験を教えてください。
最大のきっかけは、私自身の極限状態の経験と、海外での価値観のギャップです。
私はかつて、日本の「長時間労働・徹夜が評価される」環境で働き、睡眠不足の極限まで追い込まれました。しかしその後海外へ出ると、「残業=仕事ができない」と扱われる正反対の現実に直面したのです。
さらに、シンガポールで生活する中で、日本にいる友人がバーンアウトや体調不良になったという知らせが届き、「仕事も人生も楽しんでいいという価値観を届けたい」と強く思い、発信・啓蒙活動へ踏み出しました。
キャリアの面でも、かつては「他人の評価」を優先して空回りし、バーンアウト寸前でした。しかし留学中に「本当は国際ジャーナリストになりたい」という自分の本心に気づき、留年を承知で専攻変更を決断。そこからExecutive MBAを経て、「自分の納得」を最優先に人生を設計する方向へPIVOT(方向転換)しました。
経済の面では、現在の米国系グローバルIT企業をはじめ、成果と年次の成長を求められる海外の厳しい実力主義・インフレ環境のサバイバルを経験してきました。そこで痛感したのは、「常に学習し続けて付加価値を上げなければ、すぐに通用しなくなる(最悪の場合、職を失う)」という“付加価値=生存条件”の現実です。会社のモットーである「Do more with less(より少ないリソースで、より多くの成果を)」のもと、常に生産性向上とバージョンアップを求められる環境で培った経験、そして「スピード×動きながら修正(Go & How)」の重要性が、仕事にとどまらず、YOLO(You Only Live Once=人生は一度きり)として人生そのものを謳歌したいという問題意識につながっています。
Q5. ご自身の活動を通じて、どのような社会を実現したいとお考えですか?
4つの軸で、日本全体の競争力と幸福度を底上げしたいです。
【働き方・組織文化】
感情共有と心理的安全性を土台に、「発言で価値を出し、Do more with lessで成果とゆとりを両立できる職場」を広げ、働きがいと幸福度が自然に上がる社会。
【キャリア・教育】
YOLO(人生は一度きり)の価値観を軸に、他人の期待や評価に振り回されず、自分の心に正直に、主体的に選択し行動する。他人任せではなく、各人が自己決定して学び続け、動きながら修正できる人材が当たり前の社会(学歴より学習歴)。
【経済・競争力】
成長思考(Growth Mindset)を持ち、「Learn it all(すべてを学ぶ)」や「Go & How」の実装で、学びとデータ活用を付加価値に転換する。外の知見も取り込める俊敏な日本へ変革し、世界での競争力を底上げする。
【健康・ウェルビーイング】
ウェルビーイングの法則(888ルール※Q6にて説明)と積極的な運動習慣、そして会社外の複数の居場所を持てる設計で、孤立せず心身が整う社会(健康が土台の自由・社会)。
Q6. 具体的にどのようなアプローチで、課題解決に取り組んでいますか?
独自のメソッドや行動変容の「型」を、書籍や講義、メディアを通じて提示しています。
働き方: 会議での「予習型・3論点/質問・弱さの開示・感情共有」を軸に、心理的安全性とエンゲージメントを高める行動変容を促進。あわせて「5:15(日報や簡易議事録は「15分以内で作成して、5分以内で読める内容にする」)」「2:8(本来は「8割の価値を生み出す2割に注力する」という思考だが、私は最初の2割の時間で8割の仕事を終わらせるなど様々な仕事に応用させている)」や「Go & How」等の仕事術で、成果前提かつゆとりある働き方への転換を支援しています。
キャリア: 自己決定して選び、動きながら修正するキャリア自律を後押し。「学歴より学習歴(生涯学習)」を提唱し、継続学習の実装を促しています。
経済: 完璧主義よりも「スピード×改善」で付加価値を生む文化を広げるため、Learn it allやGo & How、2:8の実装を推進。国際比較データを踏まえ、学び直しや外部知見取り込みの重要性を発信して投資行動へ繋げています。
健康: 「888ルール(24時間を仕事8・睡眠8・私生活8に分ける)」と、ボクシングなどの運動を習慣の型として提示。回復力・集中力・自己効力感を底上げし、副業・趣味・コミュニティなど、会社外の居場所を複線化して孤立リスクを下げる人生設計を提案しています。
Q7. 解決に向けて、視聴者や社会ができるアクションを教えてください。
「個人」と「社会(職場・学校)」、それぞれ今すぐできる具体的なアクションがあります。
1. 働き方・組織文化
個人: 会議は「予習型+3つの論点/質問+必ず一言」。発言=価値提供を習慣化し、5:15や2:8の活用で、過剰品質と残業前提の働き方を断ち切る。
社会(職場): 弱さの開示と感情共有を許容する心理的安全性の場を制度化し、「成果前提(Do more with less)」の評価・運用へ移行する。
2. キャリア・教育
個人: YOLOの軸で「二択➔小さく試す➔合わなければ修正」を回し、学歴より“学習歴”を積む(週次で学びの固定枠を作る)。
社会(学校/企業): 学び直しを個人任せにせず、学習機会や学習記録の可視化、そして「挑戦(学び/異動/副業)」そのものを正当に評価する仕組みを整える。
3. 経済・競争力
個人: 完璧主義を捨て「Go & How/Learn it all」で早く出して改善する。データや外部知見を積極的に取り込み、付加価値化する行動を増やす。
社会(企業/地域): 「2:8」を標準運用とし、“コアを早出し➔現場で磨く”スピード感を共有する。異業種や海外を含む共創によって、学びと実装のスピードを上げる。
4. 健康・ウェルビーイング
個人: 「888ルール」を徹底し、睡眠・運動・学びや家族の時間を先に確保する。運動習慣(ボクシング等)で回復力と自己効力感を底上げし、仕事以外、特に個人の時間を最優先にする生き方・働き方へシフトする。
社会(地域/職場): 会社外の居場所(趣味・コミュニティ・副業)を増やせる環境を作り、つながりと支援の導線を作って“孤立しない構造”を広げる。
岡田さん、貴重なお話を聞かせてくださりありがとうございました!
(インタビュアー:ルカ)
0コメント