株式会社スダチ 代表取締役 小川涼太郎さん

株式会社スダチ 代表取締役 小川涼太郎

1994年生まれ、徳島県出身。父親の引きこもりを経験したことをきっかけに、「引きこもりで苦しむ人をこれ以上生み出したくない」という想いから2019年5月に株式会社スダチを設立。引きこもりの背景には“その前段階”として不登校の問題があると気づき、2020年4月より不登校支援事業を本格的に開始。ボランティア活動を通じて出会った多くの子どもたちが「本当は学校に行きたいけれど、行けない」「自分でも理由がわからない」と苦しむ現実を目の当たりにし、“目的意識が見えない不登校”という課題に危機感を抱く。

「不登校で悩む人を一人でも多く救いたい」という信念のもと活動を続け、2026年6月時点での再登校支援実績は1,900名を突破。平均再登校日数は約23日、再登校率は約90%に達している。2024年には教育立国推進協議会 民間有識者として提言を行い、社会全体での教育支援体制の構築にも尽力。

著書に『不登校の9割は親が解決できる』(PHP研究所)※8度の重版・累計2万部突破、『1万人以上の不登校相談からわかった! 子どもの「学校に行きたくない」が「行きたい!」に変わる本』(PHP研究所)※Amazon「いじめ・不登校」カテゴリ第1位。また、YouTubeチャンネル『スダチ 不登校TV』では登録者数約10万人を突破し、全国の親子に向けて支援の輪を広げている。


今回は、そんな挑戦し続ける小川さんにインタビューしてまいります!

(インタビュアー:ルカ)


「不登校の原因はいじめではない」現場の誤解とデジタル環境の危機に挑む、スダチが目指す教育の未来。


Q1. 解決したい社会課題と、いま特に問題視している点を教えてください。

私が解決したい社会課題は、「不登校・引きこもり」です。

現在、不登校や引きこもりの人数は過去最多を記録しています。それだけに留まらず、若者の自殺件数、発達障害の人数、そして精神科の受診者数までもがすべて過去最多となっている現状を、非常に深刻に受け止めています。


Q2. 課題の現状や深刻さについて、具体的なデータに基づいた実態を教えてください。

いわゆる「令和型」の不登校の原因は、いじめではありません。そして、学校以外の要因がきっかけとなることが多くなっています。

文部科学省の最新データ(令和5年度)を見ても、不登校の理由は私たちがイメージするものとは大きく異なっています。

1位(30.1%):やる気が出ない

2位(25.0%):生活リズムの不調

3位(24.3%):不安・抑うつ

4位(15.6%):学業の不振

5位(13.2%):友人関係の問題(いじめを除く)

6位(12.6%):親子の関わり方に関する問題

7位(8.0%):家庭生活の変化

最下位(1.4%):いじめ

データが示す通り、いじめはわずか1.4%で最下位。圧倒的な上位を占めるのは、「やる気が出ない」や「生活リズムの不調」といった本人の状態や環境の変化です。


Q3. 社会の中で、この課題はどのように受け止められていると感じますか?

現在は「学校が悪い」「学校には行かなくてもいい」という議論ばかりで終始していると感じます。メディアが学校への批判を煽り、「教員はブラックだ」と報道することで教員のなり手も減り、ますます現場が悪循環に陥っています。そして「学校ではなく、フリースクールだ」と、フリースクールを称賛する風潮が強まっています。

さらに、「子どもの自主性を伸ばす」「探求教育が大事」「褒めるのが大事」「叱ってはいけない」といった教育方針が広がった結果、逆に現場は混乱し、むしろ不登校が増えるという結果になっています。北欧の教育に倣おうという主張も多いですが、実際にその方針を進めた北欧の教育現場は崩壊してしまい、現在は元来の詰め込み教育に戻そうと舵を切っています。しかし、日本は今、それとは真逆の方向に突っ走ってしまっている状況です。

そのうえで、近年のデジタル機器の登場により、不登校問題はさらに深刻となっています。世間的には「デジタル機器は良いものだ」という認識が強いですが、世界各国では子どもたちに対してSNSやデジタルデバイスを規制しようという動きが起きています。日本はその潮流とも真逆の方向(小学1年生から全員にタブレットを配るなど)に動いている点も、非常に危機感を覚える部分です。


Q4. この課題に関心を持つようになったきっかけや、ご自身で動こうと決意した原体験を教えてください。

すべての原点は、私自身が父親の引きこもりを経験したことです。

元々は社会の仕組みそのものを変える必要があると考え、新卒でアビームコンサルティング株式会社に入社しました。そこでは企業の経営改革やDX支援に携わっていましたが、活動を続ける中で「本当に変えるべきは教育だ」と気づき、教育の世界へ入ることを決意しました。


Q5. ご自身の活動を通じて、どのような社会を実現したいとお考えですか?

「すべての人が幸せに巣立っていける社会」です。

スダチとしては、不登校・引きこもりという目の前の課題を根本から解決し、「自立できる親子を増やす」というアプローチでこの社会の実現を目指しています。


Q6. 解決に向けて、視聴者や社会ができるアクションがあれば教えてください。

まずは、「教育現場のリアルな現状を知ること」。そしてそのうえで、「これからの未来の教育のあるべき姿を、一人ひとりがしっかりと考えてほしい」と願っています。


小川さん、貴重なお話を聞かせてくださりありがとうございました!

(インタビュアー:ルカ)