小学校教諭 松下隼司さん

小学校教諭 松下隼司

教員23年目。令和4年度に文部科学大臣優秀教職員表彰を受賞。令和6年度版の教科書編集委員を務める傍ら、Voicyパーソナリティとしても発信を続けている。プレゼンアワード2020優秀賞、日本最古の神社である大神神社短歌祭では額田王賞を受賞するなど、多才なアプローチで教育界に貢献。著書に、絵本『がっこうとコロナ』『せんせいって』、教育書『教師のしくじり大全』『先生を続けるための「演じる」仕事術』などがある。


今回は、そんな挑戦し続ける松下さんにインタビューしてまいります!

(インタビュアー:ルカ)


現役23年目の小学校教諭が訴える、教員不足と不登校のリアル、そして今すぐできるアクション


Q1. 解決したい社会課題と、それを問題視している背景を教えてください。

私が解決したい社会課題は、「教員不足」や「不登校」です。

具体的には、以下の3つの点を特に問題視しています。

・深刻化する教員不足

・教員の残業時間や持ち帰り業務の多さ、および休憩時間が全く取れていない現状

・増加の一途をたどる不登校の現状

これらはテレビや新聞、SNSなどのメディアでも大きな課題として連日取り上げられ続けていますが、実態は大きく改善することなく、むしろ悪化していると感じています。


Q2. この課題に関心を持つようになったきっかけや、原体験を教えてください。

私自身の教員1〜2年目の頃の、あまりにも過酷だった経験が原点にあります。

当時は仕事がしんどすぎて、朝、自宅の前からタクシーに乗ってそのまま職場まで通勤することが何度もありました。さらに夜、帰宅したあとにベランダを見ると、「ここから飛び降りたら楽になれるか」と自殺を考えてしまうことが何度もありました。せっかく教員になったのにもったいないという思いがあり、当時は「病気休暇を取る」「辞める」という発想すらありませんでした。

私がこれほどまでに仕事をしんどく思ってしまった原因は、授業の進め方、学級経営、そして子どもへの対応の具体的な「方法」を全く知らなかったからです。

大学の教職課程では、具体的な授業の仕方や子どもへの対応方法は学べず、ピアノの弾き方や心理学、英語やフランス語などの勉強が中心でした。

ピアノの弾き方そのものではなく「ピアノを上手く弾けるようにする教え方」、英語やフランス語の知識ではなく「英語やフランス語の授業の仕方」を大学で学べていたら、と強く思います。心理学の理論を学ぶだけでなく、いじめや喧嘩への対応といった「具体的な子どもへの対応方法」を知り、演習し、身につけておくことが何より重要だったと感じています。


Q3. ご自身の活動を通して、どのような社会を実現したいとお考えですか?

教員不足の割合を少しでも改善したいです。仕事を続けたいと思っているのに、しんどさから休職や退職を選んでしまう先生の数を一人でも減らしたい。そして、学校に行きたいのに行けない環境にある子どもの数を、少しでも減らしたいです。

また、小学校の先生の仕事は魅力的で、小学校の先生は、みんな「スーパーティーチャー」であり「クリエイター」であると自負できる社会を実現したいです。


Q4. その社会課題に対して、現在はどのようなアプローチをされていますか?

現役で教壇に立ちながら、メディアや書籍を通じて多角的に発信・アプローチを行っています。

・絵本『せんせいって』の制作

教師の仕事の実情や、本心をリアルに描いた絵本を制作しました。

・Voicyパーソナリティとしての発信

音声メディアを通じて、教育現場のリアルな声や向き合い方を届けています。

・教師向け書籍の執筆・制作

『先生を続けるための「演じる」仕事術』や『むずかしい学級の空気をかえる 楽級経営』など、若手時代の自分が必要としていた「具体的な方法論」を本にして伝えています。

・ネット記事での連載・発信

「Aera with Kids+」や「All About」などのWebメディアを通じて、広く一般に向けて発信を続けています。


Q5. 解決に向けて、視聴者や社会が今すぐ実践できるアクションを教えてください。

大きなスローガンではなく、「今すぐできる、実現可能なこと」だけをお伝えさせていただきます。

・教師の仕事の実情や本心を描いた絵本『せんせいって』を読んでほしいです。

・学校現場のリアルを描いた映画「でっちあげ」を観てもらいたいです。

・小学生の夜10時以降のオンラインゲームやSNSの利用を規制してほしいです。

(SNSやオンラインゲームが魅力的なあまり、寝不足になって登校してくる子が非常に多いです)

・InstagramやTikTokなどのSNSは、「小学生はアカウントを作ってはいけない」というルールをもっと徹底してほしいです。

・LINEの利用推奨年齢が「12歳以上(小学6年生以上)」に引き上げられている事実を、もっと広く知ってもらいたいです。

・ゲームの対象年齢を意識してほしいです。

(『フォートナイト』など過激な表現が含まれるゲームは、本来小学生は対象外になっていることをもっと知っていただきたいです)

・毎年10月5日は「教師の日」であることを知ってほしいです。

(世界的に教師に感謝を伝える日とされています。この日をぜひ知るきっかけにしてください)


松下さん、貴重なお話を聞かせてくださりありがとうございました!

(インタビュアー:ルカ)