株式会社Malia Production 柴田幸美さん

柴田幸美

三重県出身。20代前半にブライダル業を経験した後、2019年に子育て世代の女性を応援するフリーペーパー『Malia(マリア)』を立ち上げ、湘南を拠点に活動を開始。創刊初年度に「フリーペーパー大賞」創刊部門で優秀賞を受賞。

2024年4月には 株式会社Malia Production を設立し、代表取締役に就任。

現在は横浜・名古屋・大阪・札幌・福岡・東京など全国に展開し、女性のキャリアや生き方を応援するメディア事業を多角的に展開している。


今回は、そんな挑戦し続ける柴田さんにインタビューしてまいります!

(聞き手・文:光村紀勝)


“母親発”の社会改革
〜湘南から生まれたママたちのメディア革命〜


光村:事業内容について教えてください。

「Malia Production」では、子育て世代の女性を応援するフリーペーパーを制作しています。

雑誌のテーマは、女性が「いつまでもワクワクしていたい」という気持ちと、「社会とつながっていたい」という想いの両方を大切にしており、単なる育児情報誌ではなく“ママ自身の人生を応援するメディア”です。

創刊当初から、あえて紙媒体にこだわって発行しており、SNSやWeb広告が主流の時代でも、紙の温かみや“手に取る体験”がママたちの心を動かすと信じています。


光村:事業を通してどのような社会貢献・社会課題に取り組んでいますか?

取り組んでいるのは、「子育てによってキャリアが止まってしまう」という社会課題です。

出産や育児をきっかけに、仕事を諦めざるを得なかったり、自分の価値が下がったと感じてしまう女性が多くいます。

けれども、母親であることは“新しいキャリアの形”でもあります。

ママたちが自分らしく社会と関わりながら生きていけるように、Maliaではカメラマン・ライター◦デザイナーなどスキルを発揮できる場所をつくり、また子育てをしている自分にも自信が持てるような記事づくりやイベントを行なっています。


光村:その社会貢献・社会課題の実現に対しての社会の現状を教えてください。

社会には、今でも「理想のママ像」というものが強く残っています。

”家事も育児も完璧にこなすママ”であることが求められ、本人自身もその理想とのギャップに苦しむことがあり、自信を失ってしまうママも少なくありません。

また、ママたちが“働きづらさ”を感じる背景には、社会全体が「時間」や「働き方の多様性」にまだ対応しきれていない現実があります。

出産や育児でキャリアが途切れると、柔軟な選択肢が少なく、正社員でいることが難しくなったり、パート勤務でも小さい子供がいると面接に受かるのも難しい現状があります。


光村:その現状に対しての最大の障壁は何になりますか?

仕組みと意識、どちらも変わらなければいけませんが、その中でも最大の障壁は、「母親の理想像」に縛られてしまう社会の空気です。

“完璧なママ”を目指すあまり、自分のやりたいことや夢を我慢してしまう。

その我慢が積み重なることで、幸せなはずの子育てが“苦しみ”に変わってしまうことがあります。

「子どもを産んでも、自分らしく生きていい」という価値観を、もっと社会全体に広めていく必要があります。


光村:その現状を打破するためにどのような行動をされていますか?

Malia Productionは、ママたちが持つスキルや経験を活かして活躍できる機会を率先してつくり、家庭や育児と両立しながら社会と繋がることができる仕組みづくりを進めています。

誌面デザインも“子ども向け”ではなく、“大人の女性がときめく”世界観を重視。

「ママである前に一人の女性でいい」と思えるような、誇れる価値観を届けたいと考えています。

こうした活動を通じて、Malia Productionは“ママの力”を社会に示しつづけ、ママたちの自己肯定感が高まること、そして社会の目が変わることを目指して行動しています。


光村:誰もが社会貢献を考え、社会をより良くしていくには、どうすればよいとお考えですか?

社会貢献とは、特別なことをすることではなく、身近な違和感に気づき、そこから一歩踏み出すことだと思います。

たとえば、日常の中で感じる「こうだったらいいのに」という小さな声に耳を傾けること。

誰かの困りごとや、社会に漂う違和感を放っておかず、自分の行動に変えていくことが、社会を少しずつ良くしていく第一歩です。

まずは身近な人を幸せにすること。その小さな循環が、やがて大きな変化につながると信じています。


光村:これからの時代をつくる大学生や新社会人に向けて、メッセージをお願いします!

「自分には何もない」と相談を受けることがありますが、“強み”や“得意なこと”は、必ず誰にでもあります。

それは特別な才能ではなく、日常の中にすでにあるものだと思います。

友達や周りの人からかけられた言葉や、向けられた笑顔の中に、あなたの“強みのヒント”は隠れています。

誰かの困りごとを自分の力で解決する。その喜びを感じる瞬間が、きっと自信につながっていきます。

若い世代の皆さんには、自分の可能性を信じて、恐れずに一歩を踏み出してほしいと思います。


柴田さん、貴重なお話を聞かせてくださり、ありがとうございました!

(聞き手・文:光村紀勝)