株式会社SUNLIFE 代表取締役 田村 紘士さん
田村 紘士
株式会社SUNLIFE 代表取締役
大学卒業後、株式会社リグアにて約9年間、整骨院・鍼灸院の経営支援に携わる。
1,000院以上の経営改善に関わり、現場の課題を熟知。
その経験をもとに独立し、株式会社SUNLIFEを創業。
現在は直営店舗を運営しながら、治療院業界全体の経営支援・教育・海外展開を推進している。
「健康寿命の延伸」をミッションに掲げ、業界の構造改革と治療家の地位向上を目指す。
今回は、そんな挑戦し続ける田村さんにインタビューしてまいります!
(聞き手・文:光村紀勝)
「健康寿命の延伸」を目指し、
治療院業界の "治す文化”を再構築する。
光村:事業内容について教えてください。
株式会社SUNLIFEは、整骨院や鍼灸院、整体院といったヘルスケア業界の経営支援・運営サポートを行っております。その中でも主軸となるのは、治療院向けの医療機器を取り扱う代理店事業です。
単に機器を販売するのではなく、「患者さまを本当に治せる治療院」を増やすことを目的にしています。現在の整骨院業界では、保険制度の影響で「来院回数が増えるほど売上が上がる」という構造が根強く残っています。
そのため、どうしても“治す”より“売上を維持する”方向に意識が向いてしまうことが多いのが現状です。私は、この仕組みそのものを変えたいと思っています。
本来の目的である「人を治す」ことに誇りを持てるような業界をつくっていくことが、自分たちの使命です。
光村:事業を通してどのような社会貢献・社会課題に取り組んでいますか?
私たちが掲げている大きなミッションは、「健康寿命の延伸」です。日本では平均寿命が80歳を超えていますが、健康寿命は約73歳。約10年の差があり、この期間は多くの方が何らかのサポートを必要としています。その差を縮めることが、私たちが取り組むべき社会課題だと考えています。
整骨院という場所は、実は“健康教育の入り口”になり得る存在です。データを見ると、整骨院に通う患者さまの約6割が30代〜60代の現役世代なんです。月に4回ほど通う方も多く、他の医療機関よりも圧倒的に生活に近い位置で健康と関わっています。
この日常的な接点を活かして、通院を「施術の場」ではなく「健康意識を高める学びの場」にしていく。それが、私たちの目指す社会貢献の形です。
光村:その社会課題の実現に対して、社会の現状をどのように見ていますか?
整骨院業界には、技術力の高い先生がたくさんいらっしゃいます。ただ一方で、経営リテラシーを持っている先生はまだまだ少ないのが現実です。
「KPIって何?」「PLやBSはどう作るの?」というレベルからスタートする方も多く、感覚的に経営してしまうケースが少なくありません。
結果として、良い治療をしているのに経営が続かない院や、売上を優先して本質的な治療から離れてしまう院も存在します。業界全体で見ると、理想の状態に達しているのはまだ10%にも満たないと感じています。だからこそ、経営の知識と治療の信念を両立できる治療院を増やしていきたいと思っています。
光村:その現状に対しての最大の障壁は何になりますか?
やはり一番の壁は、「知名度」と「信頼」だと感じています。どれだけ良い理念や商品を持っていても、「誰が言っているのか」で判断されてしまうのが業界の現実です。
また、昔ながらのネットワーク構造が根強く残っており、新しい考え方や取り組みが受け入れられにくいという課題もあります。
光村:その現状を打破するために、どのような行動をされていますか?
まずは業界内で影響力を持つ先生方に実際に弊社の機器を導入していただき、効果を体感してもらうことに力を入れています。そのうえで、その先生方と一緒にセミナーを開催し、現場での事例を共有していくことで、少しずつ業界全体に広げています。
また、現在はプロアスリートの方々とも連携を進めています。例えば、元阪神タイガースの青柳晃洋投手とのご縁があり、実際に弊社の機器を体験していただきました。
こうした取り組みを通じて、「本当に結果が出る技術」と「社会的な信頼」を両立していきたいと考えています。
光村:誰もが社会貢献を考え、社会をより良くしていくにはどうすればよいとお考えですか?
社会を良くするために大事なのは、「気づき」だと思います。意識を変えることは難しくても、何かに気づける環境があれば、人は自然と行動を変えていきます。学生さんであれば、アルバイトという枠の中だけでなく、いろんな業界や仕事に触れてみること。そこで出会う人や現場から、社会の課題や価値を感じ取ってほしいです。知ることが行動の第一歩ですから。
光村:これからの時代をつくる大学生や新社会人に向けて、メッセージをお願いします!
まずは、「自分がどんな大人になりたいか」を考えてほしいと思います。どんな会社に入るかよりも、自分の人生の目的を持つことが大切です。そして、その目的を実現できる環境を選ぶ。もし違うと感じたら、転職しても構いません。
もう一つは、自分が大切にしている“価値観(バリュー)”を見つけること。「これだけは譲れない」という価値観を持っていれば、どんな状況でもブレずに進めます。もし今すぐ見つからない場合は、「なりたくない姿」から逆算して考えるのも一つの方法です。自分の軸を見つけて、そこから社会に価値を生み出していくことが、これからの時代を生きるうえで一番大切だと思います。
田村さん、貴重なお話を聞かせてくださり、ありがとうございました!
(聞き手・文:光村紀勝)
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