株式会社HASUNA CEO&Founder 白木 夏子さん
白木 夏子
株式会社HASUNA CEO&Founder
武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 教授
英国ロンドン大学卒業
国際機関・投資ファンドを経て、2009年に株式会社HASUNA設立
「未来へと受け継がれるジュエリー」をコンセプトに日本のエシカル消費文化を推進
内閣府「選択する未来」委員就任
Forbes「未来を創る日本の女性10人」選出
CNN「リーディング・ウーマン・ジャパン」選出
美の裏に潜む現実をどう変える?
エシカルジュエリーの会社が目指す未来
都丸:現在はどのような活動を行っていますか?
エシカルジュエリーブランド「株式会社HASUNA」を運営しています。ジュエリーのデザインや販売だけでなく、その裏にある鉱山の現状や採掘労働の実態についても発信するなどして啓発活動を行ったり、サステナビリティや取引の透明性に関する企業へのコンサルティングも行っています。大学でも教壇に立ち、SDGs経営、起業家精神を学生に伝えています。
都丸:ジュエリーの裏側には、どのような課題があるのでしょうか?
主に発展途上国の金の小規模鉱山では水銀による河川や土壌の汚染が広がり、そこを通って学校に行く子どもたちが健康被害を受けていたり、子供が労働に従事させられている場所があります。また、ブラジル・アマゾンの森林地帯では金の違法採掘が行われており、先住民の土地が侵されていることも問題視されています。採掘者たちは、自分たちの掘った鉱物が高価なジュエリーや化粧品、電化製品に使われていることを知らない人もいます。元々は、私が大学時代にインドの鉱山を訪れ、強制的に働かされている人々や子どもたちを見たことが、活動の原点になっています。
都丸:活動を通して世の中に特に伝えたい思いはなんですか?
宝石を通して見える世界の美しさをまず伝えたいという思いがあります。一方で、私たちが身につけるジュエリーの美しさの裏に、苦しんでいる人や壊されている自然があるかもしれないという事実も伝えられたらと思います。消費者が「選ぶ力」を持つことで、より良い社会に変えていくことができる。その可能性を知ってほしいと思っています。
都丸:その現状に対しての最大の障壁は何になりますか?
一番の課題は流通の不透明さです。宝石や貴金属は複数の国や業者を経由して消費者に届きます。その過程で「どこで採れたのか」「どんな環境で掘られたのか」という情報が見えなくなってしまうのです。結果として、児童労働や環境汚染といった問題がブラックボックスの中に隠れてしまいます。
都丸:社会での「当たり前」を変えることはできますか?
簡単ではありませんが、変えることはできると思います。2009年にHASUNAを立ち上げたとき、「エシカル」という言葉はほとんど知られていませんでした。それでもあえて言葉を変えずに発信し続けたことで、今では少しずつ社会に浸透してきています。小さな選択や行動の積み重ねが、やがて大きな「当たり前」を変えていくのだと思います。
都丸:最後に、若者へのメッセージをお願いします!
目の前の小さな疑問や違和感を大切にしてください。「なぜこうなっているんだろう?」と感じたことが、社会を変える第一歩になります。世界はまだまだ変えられる。自分の選択に自信を持ち、未来をつくる一員として挑戦してほしいです。
白木夏子さん、貴重なお話を聞かせてくださり、ありがとうございました!
(聞き手・文:都丸じゅり)
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