タロットみのりスパークリングetc 富井典子さん

富井典子

タロットみのりスパークリングetc

がんを経験したことをきっかけに、「当たり前のことがどれだけ幸せか」に気づき、人生観が一変。自身の“好き”を詰め込んだ空間をつくろうと、占いとワインを融合させた店舗を立ち上げる。さらに心理カウンセラーの資格も取得し、悩みを抱える人たちの心の拠り所になる場をつくることを志す。現在はアートや音楽などの要素も取り入れながら、自由な自己表現を支える創造的なスペースの構想を進めている。


今回は、そんな挑戦し続ける富井さんの魅力に迫ってまいります!

(聞き手・文:光村紀勝)


「“当たり前”を取り戻すという選択

──がんを経験して気づいた、心の豊かさ」


光村:事業内容について教えてください。

「タロットみのりスパークリング etc.」は、スパークリングワインとタロット占い、そして私自身の好きなものを詰め込んだ空間です。

お酒が好きで、特にシャンパンやスパークリングワインが大好きだったので、それを中心にしたお店を立ち上げました。タロット占いも昔から関心があり、バーという形式にとらわれず、好きなものに囲まれる空間を作りたかった。それが今の形になっています。

最近は、心理カウンセラーの資格も取得し、心のケアや相談にも対応できるようにしています。


光村:事業を通してどのような社会課題・社会貢献に取り組んでいますか?

今の世の中、特に若い世代も含めて「悩んでいる人」が本当に多いと感じています。

病気や人間関係、将来の不安など、自分を見失いがちな時代です。私自身もがんを経験し、日常の当たり前がどれほど幸せなことか痛感しました。

そんな中で、少しでも「話せる場所」「安心できる場所」が必要だと感じ、占いやカウンセリングを通じて、その場を提供できればと思っています。


光村:その社会課題の実現に対して、社会の現状を教えてください。

現代は、物も情報も溢れすぎていて、かえって感情が麻痺してしまう時代だと感じます。

水が飲めること、風が気持ちいいと感じること、猫に会えること――本来なら感動できる瞬間すら、当たり前になりすぎてしまっている。

私自身、入院中に「水が飲めるだけで幸せ」と思った経験があり、それくらい“感動する心”が薄れがちなんです。


光村:その現状に対しての最大の障壁は何になりますか?

一番の障壁は、「自分を大切にする時間や気持ちを持てないこと」だと思います。

人の目や世間の基準に合わせて、やりたくないことを続けていたり、やりたいことを後回しにしてしまっている。

私自身もかつては断れなかったり、無理して人に合わせていたけれど、それでは本当の意味で幸せになれないと気づきました。


光村:その現状を打破するためにどのような行動をされていますか?

私はまず、自分の“好き”に忠実になろうと決めました。

スパークリングが好き、タロットが好き、絵が好き、ピアノもやりたい。そういう気持ちを押し殺すのではなく、表現する空間を自分で作ることにしました。

お店をバーの形にしたのも最初の一歩でしたが、今ではカウンセリングや創作の場としての展開も考えています。「書きながら飲む」「描きながら語る」そんな空間も構想中です。


光村:誰もが社会貢献を考え、社会をより良くしていくには、どうすれば良いとお考えですか?

自分を満たすことが、最も身近で確実な社会貢献だと思います。

自分が幸せじゃないと、人に優しくもできないし、いい仕事もできない。

だからこそ、自分が何にときめくのか、何をやっているときに楽しいのかを探すことが大事。それが結果的に、人の役にも立つし、社会にもいい影響を与えていくと思います。


光村:これからの時代をつくる大学生や新社会人に向けて、メッセージをお願いします!

「人が何を言うか」じゃなくて、「自分がどう生きたいか」で決めてほしいです。

友達や親がこう言ったから…じゃなく、自分の中の声に従って行動してほしい。

やらずに後悔するくらいなら、やって失敗したほうが絶対にいい。

そして当たり前だと思っていること――水が飲める、風が気持ちいい、誰かと笑い合える――そういうことが、どれだけ幸せかに気づいてほしいと思います。


富井さん、貴重なお話を聞かせてくださり、ありがとうございました!

(聞き手・文:光村 紀勝)