社会福祉法人大原福祉会 桃花小規模保育園 てんから〜ず 東京事務局長:長谷川 桃子さん

長谷川 桃子(はせがわ・ももこ)

徳島県生まれ。大学卒業後、教育支援の業務に携わる中で、幼少期の積み重ねが人格形成に強く影響していることを実感し、0〜2歳児クラスを対象とした小規模保育園「桃花小規模保育園」を設立。発達支援にも取り組み、「子どもの自己表現力」「保護者様との信頼関係」「地域に根ざす教育」の三軸で事業を展開。プレゼン教育・阿波踊り参加をはじめとした体験機会の創出・家庭面談などを通して、早期からの自己肯定感と主体性の育成を実現している。近年は全国の教育格差や保育士の地位向上を目指した活動にも注力している。


今回は、そんな挑戦し続ける長谷川さんの魅力に迫ってまいります!

(聞き手・文:原田空宙)


「0歳から、世界とつながる力を育てる」


原田:事業内容について教えてください。

私が運営しているのは、0〜2歳の小規模保育園と発達支援施設です。単なる預かりではなく、子どもたちが自分の気持ちや意思を表現できる環境を整えることを大切にしています。例えば1歳児でもプレゼンテーションの場を設けたり、阿波踊りなど地域の舞台に立つことで、自分を表現する喜びや自信を育んでいます。


原田:事業を通してどのような社会貢献・社会課題に取り組んでいますか?

子どもたち一人ひとりが「自分で考えて、表現する」力を育てることを通して、将来『逆境の中でも最大限のチカラを発揮できる』人材の育成に取り組んでいます。そのためには、保護者様や教育に関わる大人が「正解を与える」のではなく「共に考える」存在になることが、社会全体の教育力を高めると信じています。保護者様との関わり方や地域貢献活動も含め、個と地域がつながる教育のあり方を模索しています。


原田:その現状に対しての最大の障壁は何になりますか?

保育・教育業界の評価制度と待遇面ですね。評価制度においては、営業等とは異なり目に見える数字での評価が難しく、業界としては年功序列や経験年数に基づく評価も根強いため、新しいアイデアが通りにくいという構造的な問題があります。


原田:その現状を打破するために、どのような行動をされていますか?

私は、多様な考え方を持った志のある優秀な人材が、保育・教育業界への就職を目指し、働くことにやりがいを感じられる、という状況を目指しています。

そのため、年齢や経験ではなく、意志や能力で人を評価するよう努めています。実際、元パート勤務だった方をナンバー2として登用し、管理職として活躍してもらっています。

また、地域の方や他業界の方々にもご協力頂き、様々な社会の皆様と触れ合う場を設けることで、世界を広げ、子どもを中心にした“共育”の場づくりに取り組んでいます。


原田:誰もが社会貢献を考え、社会をより良くしていくには、どうすれば良いとお考えですか?

まずは「自分が何者かを知る」こと。自分の特性や価値観を理解していないと、何をすれば貢献になるのかも分かりません。そして、自分一人で全部やろうとしないこと。得意な人と組めばいい。あとは、選挙に行くこと。社会を良くしたいなら、関心を持ち、意思を示す行動から始めるべきです。


原田:これからの時代をつくる大学生や若手社会人に向けて、メッセージをお願いします!

迷ったら、会いに来てください。「こういう大人もいるよ」と伝えたいです。私は、実は子どもの頃、画一的な教育をする学校が苦手で、自分を『子ども』という立場でしか見ず、『人と人』との付き合いをしてくれない大人が嫌いでした。でも、だからこそ“自分が理想とする大人”になろうと決めたんです。今の社会に違和感があるなら、その感覚を信じて、行動に移してください。あなたの違和感は、きっと誰かの希望になります。


長谷川さん、貴重なお話を聞かせてくださり、ありがとうございました!

(聞き手・文:原田空宙)