Artist plus 代表 松本 拓也さん
松本 拓也
理学療法士。音楽やダンスなど身体を酷使する芸術家たちの悩みに応えるべく、仲間の理学療法士とともに「Artist plus(アーティストプラス)」を立ち上げる。
専門的な知識に基づき、演奏障害やフォーカルジストニアといった特有の症状を抱える芸術家を支援する全国ネットワークを構築。
「必要なのに知られていない支援」を広めるため、ポータルサイトの運営や講演活動、SNSでの情報発信など多面的に活動している。
今回は、そんな挑戦し続ける松本さんの魅力に迫ってまいります!
(聞き手・文:原田空宙)
芸術家の“身体の教育”、まだ足りてない
知らないと後悔する、身体のケアとプロの知識。
原田:事業内容について教えてください
Artistb plusは、理学療法士3名によって立ち上げられた団体で、音楽家やダンサーといった芸術家の身体的な問題に対して、医療における専門知識を用いてサポートするサービスを提供しています。ポータルサイトを通じて、音楽家の相談から適切なセラピストへの紹介まで一貫して行う事業です。フォーカルジストニアなどの専門的な症状にも対応できる体制を整えています。
原田:事業を通してどの様な社会貢献・社会課題に取り組んでいますか?
音楽家が身体の不調に悩んだ際に、適切な支援を受けられない現状を変えることを目指しています。音楽界では身体ケアが後回しになりがちで、専門家にアクセスする文化も整っていないため、芸術医学の啓発・教育の不足という社会課題に取り組んでいます。
原田:事業を通してどの様な社会貢献・社会課題に取り組んでいますか?
日本では、医療や教育の現場で音楽家特有の身体的問題への理解が乏しく、病院でも「安静に」といった非現実的な対応が多く見られます。また、海外に比べて、音楽教育の中に身体や解剖学に関する内容が組み込まれておらず、身体の使い方に関する体系的な指導が行われていないのが現状です。
原田:その現状に対しての最大の障壁は何になりますか?
最大の障壁は、「ニーズはあるが、必要性が認知されていないこと」。音楽家自身も、症状が出るまで身体の問題を自覚しづらく、また症状が出た後も、どこに相談すればいいかわからないという構造的な問題があります。
原田:その現状を打破するためにどの様な行動をされていますか?
その現状を打破するために、私たちはいくつかの取り組みを進めています。まず、全国のセラピストと連携し、相談者が適切な専門家に確実にたどり着けるよう、相談から紹介までを一貫して行う仕組みを構築しています。また、フォーカルジストニアのような症状に対しては、単なる「不調」ではなく「病気」として正しく認識されるよう、啓蒙活動も積極的に行っています。
さらに、芸術医学の知識がより多くの人に届くよう、教育現場や音楽家に向けての情報提供やネットワークづくりにも力を入れています。これに加え、SNSやオンラインコンテンツを活用することで、必要な情報にアクセスしやすい環境づくりを推進し、アーティストが身体の不調を放置せず、早期に専門的な支援を受けられる社会の実現を目指しています。
原田:誰もが社会貢献を考え、社会をより良くしていくには、どうすれば良いとお考えですか?
「まず行動すること」。完璧を求める前に、目の前の困っている人の声を知り、自分のスキルや経験を使って関わってみる。シンプルですが、それが一番の社会貢献につながると考えています。また、自身の選択に責任を持って、迷ったら動くことも重要だと語られました。
原田:これからの時代をつくる大学生や若手社会人に向けて、メッセージをお願いします!
「やりたいことは、若いうちにやるしかない」。若さは最大のエネルギーであり、チャンスです。多少の失敗や迷いがあっても、今動くことでしか見えない世界がある。迷って立ち止まるより、一歩踏み出してみてください。
松本さん、貴重なお話を聞かせてくださり、ありがとうございました!
(聞き手・文:原田空宙)
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