渡邊 渚さん

渡邊 渚

慶應義塾大学経済学部を卒業後、フジテレビに入社

2023年にPTSDを経験し、休養

2024年に退職し、タレントやモデルとして活動

現在は、メンタルヘルスなどの社会課題に向き合う方へのインタビューを行う傍ら

ビジネス番組「リアルバリュー」のMCも務める


今回は、そんな挑戦し続ける渚さんの魅力に迫ってまいります!

(聞き手・文:都丸じゅり)


精神疾患への偏見をなくし
メンタルヘルスが身近な社会に!


都丸:現在はどのような活動を行っていますか?

タレントやモデルとして活動する一方で、精神疾患やメンタルヘルスについての理解を広める活動をしています。

たとえばシルバーリボンジャパンさんと一緒に「SOCIAL ACTION.JP」というプロジェクトに取り組んでいて、自分にできることは本当に少しかもしれないけど、それでも偏見やスティグマが少しでもなくなるように頑張って活動しています。


都丸:複数の活動を並行して行う理由はなんですか?

やりたいことが本当にいっぱいあるから、全部やってみたいという気持ちが強いんです。

1つのプロジェクトに集中する生き方も素敵だと思うけれど、私は「いろいろやってみたい!」というタイプで、それを実現するために起業して、自分で全て決められる形にしました。

学生時代は安定した生活を望んでいたけど、今は「若いうちにいろいろ挑戦したい」「後悔しない人生を送りたい」と思って行動しています。

安定ばかり求めず、挑戦してみることもアリだなと実感しています。


都丸:活動を通して世の中に特に伝えたい思いはなんですか?

精神疾患やメンタルヘルスの問題は、実はとても身近なものなのに、日本ではまだ「言いにくい」「触れにくい」空気があるように思います。

私自身もPTSDになったとき、「一生外に出られないかも」と思ったし、周りからもそう言われました。

でも、そんなことはなかった。今こうして元気に生活できているし、社会の中でちゃんと生きていけている人もたくさんいます。「精神疾患があっても大丈夫だよ」ということを、もっと伝えていきたいです。

無知が偏見を生むから、怖がらずに、関係ないと思わずに、ちゃんと向き合ってほしいなと思います。


都丸:精神的な問題を抱える身近な人に対して、できることは何がありますか?

一番してほしいことは、「変わらずに接してくれること」です。

自分が病気になって外見も内面も不安定なときに、変わらない友達や家族の存在が一番支えになりました。特別なことをしようとする必要はなくて、普通に「最近こんなの食べたよ」みたいな連絡をくれるだけで、すごく安心できました。

「あ、この関係は変わらないんだな」と思えたことが、回復への力にもなったし、「一人じゃない」と感じられたんです。

だから何よりも、普通でいてくれることが、心の支えになると思っています。


都丸:活動における最大の障壁はなんですか?

やっぱり「偏見」だと思います。

PTSDやうつ病に対して「仮病じゃないの?」なんて言われることもまだ多くて、そういう声に傷つくこともあります。

でも、精神疾患って本当に体調にも出るし、私も熱が続いたり体が動かなくなった時期もありました。体の病気と同じなんです。けれど、日本ではメンタルヘルスの教育がまだまだ不足していて、保健体育でもほとんど触れられません。

だから、子どもたちの教育から変えていく必要があると思っています。「心の病気は恥ずかしいことじゃない」と、ちゃんと知ってもらえる社会にしていきたいです。


都丸:社会での「当たり前」を変えることはできますか?

正直、社会の「当たり前」を変えるのはすごく難しいです。メンタルヘルスの話をする中で、「仮病だ」とか「甘えてるだけ」とか、心ない言葉を向けられることもあって。批判される覚悟はあるつもりでも、やっぱり傷つくことはあります。

それでも私が発信を続けているのは、画面の向こうにいる誰かの心に、ほんの少しでも変化が生まれたらいいなと思っているからです。たとえば、「自分だけじゃなかったんだ」とか、「誰かがこうして声を上げてるなら、自分も少し踏ん張ってみようかな」と思える瞬間があったら、それだけで私は“生きてきた意味があった”と思えるんです。

もちろん、私一人で社会を変えられるなんて思っていません。でも、もしかしたらこの記事を読んでくれた誰かが、何かアイデアを思いついて、もっと大きな変化につながることをしてくれるかもしれない。そう思うと、たとえその成果に自分の名前が残らなくても、私はそれが十分嬉しい。

前例のないことをするのは怖いし、風当たりも強い。でも、誰かが声を上げなきゃ、何も変わらない。だったら私がやる。批判も引き受ける。そういう覚悟で、これからも発信し続けたいと思っています。


都丸:最後に、若者へのメッセージをお願いします!

今この文章を読んでくださっている方に、まずありがとうを伝えたいです。

そして、何かに挑戦しようとしている方がいたら、その一歩を踏み出せたこと自体が、本当にすごいことだって伝えたい。

自分の決断に自信を持っていいし、その選択はきっと、あなた自身の未来をつくっていくと思います。

もし今、まだ踏み出せずにいる人がいたら、大丈夫です。怖がらなくていいし、不安になるのも当然。でも、やってみたら意外と大丈夫だったってこと、世の中には本当にたくさんあります。挑戦して「違ったな」と思っても、それは失敗じゃなくて、きっと次の一歩につながる経験になります。

だから、怖くても一度やってみてほしい。私はあなたの背中をそっと押したい。

悩みすぎて立ち止まるより、ちょっと思い切って飛び込んでみたら、意外と世界は優しかったりします。

この発信が、誰かの「やってみよう」のきっかけになったら、それ以上に嬉しいことはありません。

いつでも味方でいるよって、そんな気持ちで届けています。


渚さん、貴重なお話を聞かせてくださり、ありがとうございました🩵!

(聞き手・文:都丸じゅり)


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