株式会社Cheering代表取締役 長崎真友子さん


長崎真友子
学生時代:お天気キャスターとしてデビュー
2008年:
・九州朝日放送(KBC)アナウンサーとして入社
・「アサデス。KBC」スポーツキャスター
・グルメ情報番組・バラエティ・ラジオパーソナリティを担当
2011年:上京しフリーアナウンサー・女優・タレントとして活躍
2014年:株式会社Cheeringを創業
2024年:タレント活動を再開し、芸能・経済の両面から
     日本と世界の子どもたちを救う活動を展開


今回は、そんな挑戦し続ける長崎さんの魅力に迫ってまいります!
(聞き手・文:都丸じゅり)




アナウンサーの強みを活かした
地方創生と次世代育成支援!



都丸:事業内容を教えてください

もともとは、企画キャスティングの会社としてスタートしました。アナウンサーは基本的に個人で活動することが多いのですが、みんなが団体としてまとまることで、企業とコラボし、新たな価値が生まれるのではと考えたんです。そこで、企業とのコラボ企画を手がけるようになりました。

その後、時代の流れに合わせて動画制作や広報PRチームの立ち上げ、さらにはイベント開催など、アナウンサーが持つスキルを最大限に活かせる事業へと広げていきました。今では、「アナウンサーができることはすべてやる会社」として、幅広い活動を展開しています。

私たちは自分たちのことを「コミュニケーションデザイナー」と呼んでいます。アナウンサーは、まさにコミュニケーションのプロ。その強みを活かし、顧客(toC)と企業(toB)の間に立ち、広報・イベント・SNSなどさまざまな手段をデザインしながら、最適な形で情報を届ける仕事をしています。


都丸:事業を通してどの様な社会貢献・社会課題に取り組んでいますか?

私たちが取り組んでいるのは、地方創生です。私は福岡出身で、他のメンバーも地方局のアナウンサー経験者が多く、地方の皆さんに何か恩返しができないかと考えるようになりました。

地方には、素晴らしい商品やサービスを生み出している企業がたくさんあります。でも、なかなか全国区で知られる機会が少ない。私自身、局アナ時代からずっと感じていた課題でもありました。そこで、私たちがコミュニケーションデザイナーとして企業の中に入り、広報やPRを通じて全国へ発信していくことで、その課題を解決したいと考えています。

ただ、一度テレビで紹介されたり、SNSでバズったりするだけでは不十分で、長く継続して発信し続けることが大事です。企業も私たちも根気強く取り組み、人と人とのつながりを大切にしながら支えていくことが求められます。

地方の企業や人々が抱える「伝わらない」課題を、PRや広報の力で解決することが私たちの使命だと思っています。


都丸:もう1つの事業「スピーチアカデミー」についても教えてください

「スピーチアカデミー」は、子どもたちや親・先生向けに話し方やコミュニケーション力を育てるスクールです。学校では教わらない「伝える力」を身につけることで、自信を持って人生を歩めるようにサポートしています。

私自身、大学時代から小学校での学習支援や児童養護施設での活動を続けてきました。そこで感じたのは、環境に恵まれない子どもたちほど、コミュニケーション力が将来の生きる力につながるということ。話し方が変わるだけで、人生のチャンスは大きく広がります。

さらに、ゆくゆくは日本だけでなく世界の貧困地域の子どもたちにもこのスキルを届けたいと考えています。言葉が違っても、コミュニケーションは非言語でも成り立つもの。そんな力を育てる学校をつくることが目標です。

不登校や引きこもりの増加など、社会全体でも人とのつながりが希薄になっている今、「会話って楽しい」と感じられることが大切だと思っています。話す力を育てることで、人と関わることに前向きになれる人を増やしていきたいですね。


都丸:取り組んでいる社会課題に対しての、社会の現状を教えてください

地方創生については、2024年末から「第2期」に移行しました。第1期では観光誘致や移住促進を重視していましたが、なかなか移住は進まなかったんですよね。コロナで多少の変化はあったものの、地方に人を定着させるのは難しい現状でした。

そこで第2期では、「地方で経済を回す」ことに重点が置かれています。地域でしっかり稼げる仕組みを作ることで、結果的に人が住みやすくなる。そういう流れを目指しているのが今の地方創生です。

もう一つ、子供たちの社会課題に向けての背景で言うと、少子高齢化が進む一方で、児童虐待の件数は増え続けているんです。親が虐待してしまう背景には、経済の不安定さや社会の孤立があると思います。特に核家族化が進んで、親が誰にも頼れず、孤独な育児を強いられているのも大きな問題ですね。

政府も試行錯誤しながら支援策を打ち出していますが、資金配分だけでは解決しない根深い課題があると思います。本当に必要なのは、親が孤立しないための相談先や地域のつながりを強化すること。子どもを守るためにも、社会全体で支え合う仕組みがもっと必要だと感じています。


都丸:取り組んでいる社会課題に対しての、社会の現状を教えてください

地方の活性化には自治体の予算配分の問題が大きく影響しています。本当に必要な部分にお金が回らず、政治的なつながりで決まることも多いのが現状です。例えば、観光PRの動画制作でも「この予算では適正なクオリティのものは作れない」というケースがよくあります。

また、政治家や自治体と住民の対話の場が不足していることも課題です。SNSなどで「求めているのはそこじゃない」という声が多くても、意見を直接届ける仕組みがない。政治家がSNSを活用し、住民とオープンに意見交換する場を作ることが必要だと思います。

スピーチアカデミーでは、子どもたちに話し方やコミュニケーション力を教えていますが、マネタイズが難しいのが現状です。ボランティアで続けてきましたが、事業として継続するには資金が必要。しかし、学校単位では予算がなく、PTAや自治体とのプロジェクト単位でしか実施できていません。

また、親が「話し方」にお金をかける優先度が低いことも壁の一つです。経済的に余裕のない家庭ほど、子どもの話し方より生活費を優先するため、支援が届きにくい状況になっています。

最終目標は、公教育に「話し方」や「コミュニケーション」の授業を組み込むことですが、教育改革には時間がかかるため、今できる形で広げていく必要があると考えています。


都丸:その現状を打破するためにどの様な行動をされていますか?

地方創生の分野では、予算が限られているというのが現実です。特に自治体は、SNSや広報活動にかけるお金を十分に割けていないのが普通です。でも、だからこそ私たちは、その中でできる限りのサポートを提供しています。動画制作やSNS運用、広報サポートを、予算内でできるところまでやろうという感じで取り組んでいます。無理に大きな変化を目指すのではなく、現実的な範囲で進めていけるように工夫しているんです。資金が足りない中でも、できることをしっかりとこなしていくことで、トントンで回るように頑張っています。

もちろん、相手が困っていることは事実なので、どうにかして助けたいという気持ちもあります。限られたリソースの中で、無駄を削ってできる限りの支援を提供する形で調和を取るようにしています。その結果、お互いにとって良い形になることが多いです。

そして子ども関連の活動については、今はボランティアベースで行っていますが、もっと広い範囲で支援を届けるために、自治体やPTA総会など、きちんとした予算がある団体とも連携しています。個人で活動するよりも、大きな規模で支援を提供できるので、より多くの親や先生、子どもたちに届くように工夫しています。これが、地域や教育分野での課題解決につながる方法だと思っています。


都丸:これからの時代を作る大学生や新社会人に向けて、メッセージをお願いします!

私からのメッセージは「自分の勝てる領域を見極めて、それを伸ばしていこう」ということです。私は最初、自分の得意なことが何か分からなかったけれど、子どもたちの分野で長年経験を積み、自信を持てるようになりました。その後、アナウンサーというキャリアを重ねる中で、子どもたちに対する思いと自分のスキルがうまくかみ合い、社会貢献やオリジナルの事業に結びついていったんです。

起業する際も、自分の勝てる分野をしっかりと見極め、そこに集中しました。結果を出したいなら、まずは自分の強みを見つけて、それを伸ばしていくことが大事だと思います。子育てにおいても、褒めて育てることが大切だと感じていて、それは自己肯定感にもつながります。これからの時代、自分がどこに向いているのか、何が得意なのかをしっかり見極めて、その強みを伸ばしていけば、きっと結果がついてくると思いますよ。




長崎さん、貴重なお話を聞かせてくださり、ありがとうございました🎤!
(聞き手・文:都丸じゅり)


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